幼い子どもと一緒に生活していく中で、「身の回りのものはできるだけ身体や肌に優しいものを選びたい」と思う方も多いのではないでしょうか。毎日使うものや口に入れるもの、皮膚に直接触れるものには、特に敏感でいたいものです。

私たちの身の回りにはさまざまな洗剤があふれていますが、そこに含まれるのが「界面活性剤」です。具体的にどのような作用があり、なぜ洗剤に含まれているのでしょうか。肌への影響や洗剤選びの基礎知識など、気になる情報をまとめて紹介します。

洗剤に含まれている「界面活性剤」とは？

界面活性剤は、多くの洗剤や化粧品に含まれている成分です。マヨネーズやドレッシングに含まれる「乳化剤」も、界面活性剤と同じ成分を表しています。

私たちの生活に深く関わっている界面活性剤とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。なぜ多くの洗剤に含まれているのか、界面活性剤入りの洗剤にはどのような特徴があるのか、あたためて確認してみてください。

界面活性剤の働き

界面活性剤とは、2つの異なる性質を持つ物質の間に存在する「界面」に作用し、お互いに混ざりやすくする成分です。たとえば油は、水に溶けません。

ぐるぐるとかき混ぜ、一時的に混ざり合ったように見えても、時間が経てばまた分離してしまうでしょう。ここに界面活性剤をプラスすれば、その作用により水と油が混ざり合うようになります。

これは界面活性剤中に、水に作用する部分と油に作用する部分の両方が含まれているためです。この性質を利用すれば、衣類に染み込んだ油性の汚れも水に溶かして落とせるように。これこそが、多くの洗剤に界面活性剤が使用されている理由です。

界面活性剤には、水を染み込みやすくする「浸透作用」や水中に汚れを散りばめる「分散作用」、再度布を入れても汚れが付きにくい「再付着防止作用」といった性質もあります。これらの性質を総合的に利用して、さまざまな洗剤が作られています。

界面活性剤入り洗剤の種類

界面活性剤には、動物性や植物性の油脂から作られるものと、石油から作られるものがあります。天然油脂や脂肪酸から作られるのが「せっけん」です。石油のほか、動物性・植物性の油脂から化学的に作られるのが「合成界面活性剤」であり、合成洗剤の原料として使われています。

「界面活性剤を皮膚に使うのは不安…」と感じる方は多いですが、これは主に合成洗剤を対象としたものです。少量でも強力に作用するのが合成洗剤の特徴で、すすぎ残しが起こりやすいというデメリットがあります。

すすぎ残しにより界面活性剤が直接肌に触れると、皮膚の表面の膜にまで作用する恐れがあります。この膜は、人体に有害な物質が入り込まないようにする役割を担っているもの。界面活性剤の効果により、本来なじまないはずの物質が肌に残りやすくなるリスクがあります。

同じ界面活性剤入りの洗剤でも、「せっけん」は皮膚や衣類に優しいという特徴があります。「界面活性剤＝悪者」と捉えるのではなく、界面活性剤の特徴を知り、自身のニーズに合わせてより適切なものを選ぶ工夫が必要です。

界面活性剤を使用していない洗剤についても知ろう

界面活性剤の影響が気になる場合は、不使用タイプの洗剤に注目してみるのもおすすめです。皮膚や身体に優しいだけではなく、環境への負荷も少ない商品として注目されています。まだその数は多くはないものの、自然派アイテムを多く扱うお店などで購入可能です。

洗剤選びの基本知識

衣類用の洗剤に食器用洗剤、トイレやお風呂のクリーナーなど、洗剤の種類は多種多様です。またそれぞれに液体・粉末・固形など、さまざまなタイプが存在しています。

「どの洗剤を選べばいいのかわからない…」と悩んだときには、ぜひ以下の3つのポイントに注目してみてください。自分に合った洗剤を選ぶためのヒントをお届けします。

洗剤の成分

洗剤の主成分は、界面活性剤です。界面活性剤には、以下のような種類があります。

・脂肪酸系

・高級アルコール系

・直鎖アルキルベンゼン系

高い洗浄力を求めるなら、直鎖アルキルベンゼン系のアルキルベンゼンスルホン酸塩（LAS）を使った洗濯洗剤を選ぶのがおすすめです。

高級アルコール系の高級アルコール硫酸エステル塩（AS）を使った洗濯洗剤を選べば絹のような繊細な素材も優しく洗い上げられるでしょう。

また界面活性剤以外の成分にも注目してみてください。漂白剤が含まれていればシミ汚れもすっきりきれいにできるでしょう。蛍光増白剤を使えば、白い衣類をより白くしてくれますが、色柄ものへの使用には注意が必要です。

洗剤のpH値について知ろう

洗剤は、pH値によって「酸性」「中性」「アルカリ性」の3つに分類されます。種類によって得意な汚れや洗浄力が異なるので、ぜひ注目してみてください。

衣類や手肌に負担をかけにくいのは、中性洗剤です。デリケート衣類用洗剤や台所用洗剤に多く見られます。

アルカリ性洗剤は、汚れを分解する力が強いという特徴があります。頑固な汚れに効果的にアプローチしたい場面で選択しましょう。酸性の洗剤は、水垢や尿石、皮脂汚れといったアルカリ性の汚れに強い点が特徴的です。トイレやバスルームなど、水回り設備で活躍します。

洗剤の種類と使用方法の違いは？

衣料用洗剤を選ぶ際には、ぜひ洗剤の形状にも注目してみてください。粉末・液体・ジェルボールの3つのタイプがあり、それぞれで異なる性質を持っています。

粉末洗剤は頑固な汚れに強く、またコストパフォーマンスにも優れています。液体洗剤は、粉末よりも洗浄力で劣るものの、デリケートな衣類にも対応しやすいでしょう。時短や節水効果を見込めるなど、バランスの良さが魅力です。

ジェルボールタイプは1回当たりの価格が高めですが、洗剤を計量する手間が省けます。自分自身が何を重視したいのか、成分やpH値と合わせて確認してみてください。

洗剤の正しい使い方と保存方法

洗剤の効果を最大限に発揮するためには、正しく使い保存する必要があります。それぞれのポイントは以下のとおりです。

効果的な洗剤の使い方とは？

洗剤は、その使い方によっても効果が違ってくるものです。その効果を最大限に引き出すためにも、正しい使い方を意識しましょう。

洗濯用洗剤は、洗剤ケースに入れて投入しましょう。原液が直接衣類に触れると、成分が残ってしまったり、繊維に負担がかかってしまったりする恐れがあります。

洗濯槽内に直接洗剤を入れる場合は、注水後のタイミングに投入しましょう。また洗濯用洗剤と柔軟剤を同時に投入すると、汚れが落ちにくくなってしまいます。

洗剤はたくさん入れたからといって、洗浄効果が高まるわけではありません。洗濯物はやや少なめにして、洗剤は適正量で使用するよう意識してください。

洗剤を保存する際の注意点

洗剤を保存する場合は、高温多湿な環境を避けてください。粉末洗剤の場合、中身が固まって使いづらくなってしまう恐れがあります。また洗濯用洗剤には酵素が配合されているものも少なくありません。

高温多湿な環境下では、洗濯前に酵素が活性化してしまい、使用時に十分な効果を得られなくなってしまう恐れがあります。直射日光や急激な温度変化も、洗剤の質に影響を与える可能性があります。劣化を避けるためにも、避けたほうが良いでしょう。

「界面活性剤」が気になる方におすすめの洗剤7選

家族のためにも、より安心して使える洗剤を探したい…と思ったら、以下の7アイテムに注目してみてください。

がんこ本舗 洗濯洗剤　海へ・・・ Fukii 詰替 380g

THE 洗濯洗剤 詰め替え用 Think Nature 450g

ネオベビー 善玉菌酵素洗たく洗剤 1.2kg

アルマウィン ランドリーリキッド クリナッツ 2000ml

エコメイト 食器洗浄機用庫内クリーナー 90g

エコメイト 風呂釜クリーナー [3回分]

エコメイト 食器洗浄機用洗剤 750g

洗剤にまつわるFAQ

洗剤を使用する際に、ふとした疑問を抱く場面は多いもの。よくある質問を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

界面活性剤の種類による使い分けはありますか？

界面活性剤には種類ごとに特徴があります。非イオン界面活性剤は油汚れに強く、アニオン界面活性剤に含まれるアルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムは、洗濯後の衣類の風合いが優れています。ニーズに合わせて選択しましょう。

洗剤の泡立ちが悪いときの対処法は？

洗剤によっては、もともと泡が立ちにくいものもあります。泡立ちが悪いからといって、洗浄力が低下するとは限りません。洗剤の特徴を踏まえて使用するのがおすすめです。水温が低かったり洗剤量が少なかったりすると泡立ちにくくなるので、意識してみてください。

シミに効果的な洗剤の選び方は？

シミ汚れに効果的なのは、界面活性剤、酵素、溶剤を配合した洗剤です。油汚れには界面活性剤が有効ですが、それでも落としきれない頑固な汚れには、酵素や溶剤で対処するのがおすすめです。

粉末洗剤と液体洗剤、どちらがおすすめですか？

それぞれにメリット・デメリットがあります。コスパの良さと洗浄力の高さを求めるなら粉末洗剤が、種類豊富でニーズに合ったアイテムを選びたいなら液体洗剤がおすすめです。

界面活性剤にも注目して洗剤を選んでみて

界面活性剤は、洗剤に多く使われている成分です。油汚れを効果的に落としてくれる一方で、肌や身体への影響が気になる…という方は決して少なくありません。

「石油由来の合成界面活性剤を避ける」「界面活性剤の使用量をできるだけ少なくした洗剤を選ぶ」といった工夫を取り入れるのがおすすめです。今回紹介したおすすめアイテムにも、ぜひ注目してみてください。